中学校で不登校になってしまうと、とうぜん欠席日がどんどん増えてしまい、出席日数が足りなければ留年となり中学卒業もできません。
一般的に、1年間に欠席日数30日というのが基準となっていて、その基準日数を超えてしまうと、留年するケースがあり、その場合には中学校を卒業することが出来なくなってしまいます。高校受験どころではありませんね。ただ、この基準は学校・自治体で異なるのですが、基本は年間30日が留年のボーダーラインと覚えておいてください。
それでは、もしこの基準の欠席日数をオーバーしてしまったら、どうしたら良いのでしょうか?何とかならないのでしょうか?
こんな状況に、もし・・・
「不登校の欠席日」が、「出席扱い」として認められる
としたら、どうでしょう?希望がわきまませんか?
実は、そういう制度があるのです。
令和元年、文部科学省は「不登校児童を救済する制度」を発表しました。この制度を利用すれば、「不登校児の欠席を出席扱いにする」という制度です。
ただ、すべての不登校児が使える訳ではないので要注意ですが、ある条件を満たせば、利用することが可能です。
この「不登校児の出席扱い制度」を利用して、高校受験につなげませんか?!
いま日本全国の不登校児数の急増が問題になっています
ここ数年、小中学生の不登校児が急激に増加しています。令和4年に発表された小中学生の不登校児童数が、全国で24万4940人となり、過去最多を更新しました。ここ9年連続で増え続け、対前年比は4万8千人も増えている現状です。
下のグラフは学年別の不登校児童数です。
「どうして、ウチの子どもに限って不登校なんだろう」と悩みたくもなりますが、日本全国をみると登校したくても出来ない不登校児が、こんなに居るのです。
このような深刻な状況を見て、文部科学省が令和元年に不登校児の救済措置として、不登校でも出席扱いにする制度を発表したのです。
文科省の「不登校児の出席扱い認定」制度を利用する
上の図は一般社団法人 起立性調節障害改善協会の発表した、出席扱い数の推移ですが、ここ数年で利用者が倍増しているのが分かります。だいぶん、この認定制度の認知度が上がって来ました。
それではさっそく、私達もこの不登校児の出席扱い制度を利用していきましょう。この制度で認定を受けるためには、以下の7つの条件をクリアする必要があります。
- 保護者と学校の間で十分な連携、協力関係が保たれていること
- ITや郵送、FAXなどの通信方法を活用した学習活動であること
- 訪問などによる対面の指導が適切に行われること
- 学習の理解程度を踏まえた計画的な学習プログラムであること
- 校長が対面指導や学習活動の状況を十分に把握していること
- 学校外の公的機関や民間施設などで、相談・指導を受けられない場合に行う学習活動であること
- 学習活動の評価は、計画や内容を学校の教育課程に照らし判断すること
上から順に、簡単な説明をしていくと・・・
- 保護者と学校側で、この制度を利用する旨の十分な協議が必要ということです。家庭で勝手にICT教材で学習をしているだけでは認められませんので、学校側とよく話し合って、認定制度をスタートする必要があります。
- 教材が、学習結果をIT、郵送、FAXなどでやり取りができる事。つまり、本当にやったかどうかの結果を上記通信手段を通して、教材側からのレポートなどで、証明する必要があるという事です。
- 学級担任やスクールカウンセラーなどが、定期的に対面指導が行われていることが前提となる。ですので、定期面談が必須となります。
- 教材プログラムが、学校の教育課程に基づいた計画的な学習プログラムとなっている必要があります。
- 在籍する学校の校長先生が、学習計画および対面指導が適切に行われている、という事を十分認識していること。
- この認定制度は、当該児童がが学校外の公的機関や民間施設などで、相談・指導を受けられない場合に行う学習活動であり、上記3の担任やカウンセラーの対面指導が行われていることを前提とします。
- 学習活動の成果を評価に反映する場合には、学校が把握した当該学習の計画や内容がその学校の教育課程に照らし適切と判断される場合であること。
少し難しいですが、上記7項目すべてに当てはまる場合に、不登校児の家庭学習の実績を「出席扱い」と認定してくれます。
一例ですが、このブログ内でも紹介したことのある教材「天神」では、学習記録を月1回メール添付の形で送ってきます。このように、教材製作者側からの学習記録が必要になりますので、教材を選ぶさいにその教材のカスタマーセンターなどとも、十分話し合う必要があります。
つまり、教材側と、学校の担任&校長先生と、十分に話し合い計画を立てる必要がありますので、心に留めておいてください。
なお、この文部科学省の「不登校の出席扱いの認定制度」には強制力がありません。最終的に在籍する学校の校長先生の判断に委ねる部分があるので、その点要注意です。
この認定制度自体、比較的新しいシステムのために、学校側で実際に行ったことが無い場合もあり、校長先生が認めない場合もあると聞きます。
上図に示したように、今この認定制度の利用者数がどんどんと増えていますから、万が一、校長先生が難色を示したとしても、諦めずに、教材の発行者側とも相談したり、自治体の教育委員会に相談したり、交渉を続けてください。
このシステム自体、文部科学省が令和元年に発表しており、実際に全国でかなりの不登校児が出席扱いとして認定されていますから、諦めずに校長先生に認めてもらいましょう。この制度のおかげで、多くの不登校児が中学を卒業し、高等学校に入学しています。ぜひ、あなたのお子さんに、明るい高校生活を送らせてあげてください。