朝食と学力の関係|朝ごはんを食べないと脳が働かない!は本当か?

最近、朝食は必ず取りましょう!という言葉を良く聞きますね。
「朝は時間が無いから」とか「朝食抜きプチダイエット」だからと、朝食を食べ無い子どもがいますが、本当のところ朝食を抜くことで、どのような影響があるのかを検証してみましょう。

『朝食と学力の相関関係』

以下の資料は文部科学省「全国学力・学習状況調査」の結果からの抜粋です。発行年度は平成21年と少し古めですが、朝食が学力に及ぼす影響を示す資料としては非常に解りやすく、また根本は変わりませんのでここに紹介します。

小学生と中学生の統計ですが、主要教科である国語A、国語B、算数A(数学A)、算数B(数学B)のテスト結果を、どちらも

1朝食を食べている
2朝食をどちらかと言えば食べている
3朝食をあまり食べていない
4朝食を全く食べていない

というカテゴリーに分けて調査した結果報告です。

グラフを見ても明らかなように、朝食を毎日食べている子供の成績は、朝食を全く食べない子供よりも

小学生で16.8~18.1ポイント
中学生で14.1~19.8ポイント

も成績が良いという統計が出ています。

ここで言うポイントとは、単純に点数と考えていいです。
たった朝食を食べるか食べないかの違いで、成績がおよそ15点~20点近くも違ってきてしまうのは大問題です!

『食事の脳に与えるメカニズム』

まず初めに、

脳のエネルギー源となるのが「ブドウ糖」です。

脳はブドウ糖しかエネルギーに使うことが出来ず、この原料となるのが
ご飯やパン、麺類などの炭水化物です。だから炭水化物は大事なんです。

朝食を全く食べないと脳にエネルギー源であるブドウ糖が不足し、学校に行っても頭が十分働かないために本来持てる力を出しきれずに、テストの点数も下がってしまう可能性が大なんです。

では炭水化物ならご飯でもパンでも麺類でも何でも良いだろう・・・
と考えたら、そこはちょっと違います。

ここで問題です。

ご飯、パン、麺類のうち、どれを食べたら一番脳を活性化出来るか分かりますか?

答えは『ご飯』です。

その理由は、お米のご飯はゆっくりと消化吸収されるために、血糖値の上昇がゆるやかで、脳の活動に適した血糖の状態が長く持続するからです。

よく「ご飯のほうが腹持ちがする」と言われていますが、お米には食物繊維のような働きを持つ難消化性デンプンが含まれているために、パンや麺に比べて消化吸収に時間がかかるからです。

それでは白米と玄米ではどちらが良いのか?

というと、もうそれは圧倒的に栄養素が優れている玄米に軍配があがります。

ただ、白米でも十分、学力の持続・向上に良いですから、無理をして炊くのに時間のかかる玄米にする必要はありません。

それではパンや麺類(ラーメンやうどんなど小麦製品)は、どうしてお米に負けてしまうかと言うと・・・

今の日本で食べられているパンの大半は精製した小麦粉製です。
このようなパンは消化吸収がとても早く、食べるとすぐに血糖値が急上昇してしまいます。

すると急激に上がり過ぎた血糖値を下げようとインスリンが大量に分泌され、場合によっては食べる前よりも血糖値が下がってしまうこともあります。
こうなると「低血糖症」になり、脳の活動がいちじるしく低下してしまい、ボーッとした状態になります。

また、パンにジャムなどをたっぷり付けて食べると甘くて食欲が進みますが、糖分過剰となり「低血糖化」に拍車をかけてしまう危険性があります。甘いジャムなどはほどほどに!

もちろんパン食が必ずこうなるという訳ではありませんが、
米食と比較するとどうしても「ご飯」に軍配が上がってしまいます。

それでも我が家はパン食だという場合には、バターを少量付けて食べることをお勧めします。
炭水化物脂質を一緒に摂ることで消化吸収の速度が遅くなり、血糖値が上がるスピードを制御出来ます。

『どんな朝食が学力を伸ばすのか?』

子供が午前中の授業時間の間に、しっかりと頭を働かせて欲しいと考えるのであれば、
上述した「ご飯」を主食とした、いわゆる「和食」が理想的です。

腹持ちも良くゆっくりと消化吸収されるために、脳の活動を長い間支えてくれます。

脳のエネルギー源は炭水化物からできるブドウ糖ですが、その他にも脂質やビタミン、ミネラルが必要です。

昔ながらの日本食は、お米のごはんに一汁一菜(いちじゅういっさい)と言われ
「一汁」がワカメの味噌汁
「一菜」が焼き魚などのメイン料理と
漬物が定番でした。

実はこれが理想的な脳を活性化させる朝食だったのです。

現代はもちろん昔ながらの和朝食にする必要はありませんが
脳のエネルギー源に「ごはん」、脂質とタンパク質に「焼き魚」、
ビタミンやミネラルに「ワカメの味噌汁」、「漬物」はビタミンと乳酸菌と食物繊維。実に理にかなった朝食だったのです。

そして、これこそが子供の学力を向上させる理想の朝食でもあるのです。

ですから朝食はできるだけ炭水化物はご飯に、主菜はハムエッグなど洋食で構いません。
そしてミネラル補給に理想的な「味噌汁」を基本に、
子どものための「朝食作り」をして上げてください。
勉強に最適な脳の状態で、子どもを学校や試験に送り出せますよ。

これが絶対ではありませんが、毎朝の朝食は取るようにしましょう!